第2話 腐者の洞窟

冒険者の宿



宿の亭主
「……と、いうわけだ。やってみるか?」


今回亭主に紹介された依頼は、リューンの外れにある地方団体からのもので、
付近の洞窟にゾンビが住み着いてしまったので、ゾンビを駆除して欲しい、というものだった。



ヒューイ「不死者か……。確かにやっかいな相手だな」

宿の亭主
「不死者と言っても、聖水など意外と弱点が多い種族だからな。
対策を立てれば駆け出しのお前達でも易々退治できるだろう」


オクト「対策……。ウチじゃあ、ルーシーの『亡者退散』に、おやっさんの『居合い切り』と……」


システィナ「リーダーの『鎮魂歌』ですか」

オクト
「不死者戦ではルーシーが要になるな」


ルーシー「……まあ、全力は尽くしますけどね」


ベルク「どうする、リーダー? 対策はこれで十分の気もするが」


ケネス「……そうだね。今から行って間に合うかな」

宿の亭主
「十分だよ。行ってらっしゃい」


こうして、ネクラーズ一行は目的の洞窟に向かった


洞窟前


オクト
「……やっぱ、ゾンビって見るからに薄気味悪い洞窟に住み着くんだな」

ルーシー
「ヒューイさん、入り口の方……」

ヒューイ
「ああ、ゾンビがうろうろしてやがるな。1体だけか。
 ……『石弾』!」

ゾンビ
「グアァァァァ…」


地霊の力で洞窟内の石が襲いかかり、ゾンビは断末魔の悲鳴を上げて倒れた。


ケネス
「よし、行こう」

洞窟内



一行は洞窟内に潜入した。通路は南に広がり、東には桟橋が架かっている。
また、北には横穴が穿たれていた。

一行はまずは大きな南の通路に向かう。


オクト
「うっ……ここは…」


死体の山がある。酷い腐臭を放ち、見るに堪えない光景だ…


ヒューイ
「……待て。今、生きてる人の呻き声が聞こえた」

システィナ
「ゾンビの声ではないのですか?」

ルーシー
「いえ。一度ゾンビの呻き声を聞けば分かると思いますが……あれは人間のものとはかけ離れています。
 人間、と思って間違いないでしょう」

オクト
「どうする。生存者を一人一人探してたら後ろから襲われちまうぞ」

ケネス
「ヒューイ、『精霊力感知』で分からないの?」

ヒューイ
「死の精霊が多すぎる上に生命の精霊力が小さい。特定は出来ないな」

ケネス
「そうか……それじゃあ、なるべく早く全て片付けて戻ってこよう」


一行はいったん戻って北の横穴を調べるが、違和感があるだけで何も見つからない。
今度は東の桟橋を渡る。


システィナ
「うわー。ギシギシ鳴ってますよ。落ちそう……」

オクト
「っ! ちょっと待て、橋の向こう側……!」

ゾンビ
「グアァァァァ!」

オクト
「くそ、嫌な所で……! おやっさん、一気に走るから前は頼んだぞ!」


<第1ターン>
迫り来るゾンビは3体。ベルクが1体、ケネスとルーシーで1体をそれぞれ相手し、オクトは残る1体に『転倒』を狙う。


<第2ターン>
ベルク、ケネス、ルーシーは継続してそれぞれを相手。オクトの強襲がヒットし、ゾンビ1体を倒した。



オクト「っしゃあ!」


こうなると脆いもので、第5ターンにはゾンビは全滅した。


ルーシー
「(自分で自分を回復している)これは、数が多いとやっかいですね」

ヒューイ
「ま、とりあえず奥に進んでみよう。慎重にな……」

オクト
「ん、今度はT字路か。南に進んでみるか」

ケネス
「そうだね」


南に進むと、そこには宝箱が1つ、ポツンと置かれてあった。



オクト「ん。宝だ宝」


システィナ「うれしいなっと」

オクト
「鍵と……毒ガスの罠か。仕掛けは単純だから俺の『盗賊の手』にかかれば……
 (ピーン)へへっ、成功。中身は……」

ヒューイ
「『生命の瞳』と『魔彩のオーブ』か」

システィナ
「それって、何なんです?」

ヒューイ
「まあ、簡単に言えば『生命感知』と『魔力感知』の効力を増幅してくれるオーブだな」

ケネス
「! それを使えば、死体の山から生存者を発見できるかもしれない!」

ベルク
「そうだな。急ごう」


一行は死体の山まで引き返し、ヒューイが『生命の瞳』を覗いて『精霊力感知』をかけた。


ヒューイ
「居た! こいつだ。ルーシー、手当を!」


……………………



男性「うっ…うぅぅぅ…」

オクト
「気付いたみたいだ」

男性
「…ぅ…ここは?そうか、私はネクロマンサーに襲われて…」


どうやらリューン外の都市に住んでいる一般の人のようだ
ネクロマンサーに襲われ、運良く致命傷を避けたが、死体と共にココに連れて来られたらしい


ルーシー
「(治療しながら)やはりネクロマンサーが背後にいましたか……。これは厄介ですね」

男性
「ありがとう…、私は大丈夫だ。何とか自力で洞窟から出れそうだよ」


男性は一歩一歩、感覚を確かめるように洞窟を出て行った。


オクト
「……ま、とりあえず進むしかないだろう。退路は確保してな」

システィナ
「…………」

ケネス
「……システィナ、どうしたんだい?」


システィナ「あのう、何となくですけど、またあの北の横穴に行っていただけますか。
        違和感がぬぐえないんです」

ヒューイ
「いいんじゃないか? そんなに時間を取るわけでもないし」


一行は再び北の横穴へ向かった


システィナ
「……やはり。そこにあるのは壁に見せかけた幻影です。奥に進めますよ」

ヒューイ
「『魔彩のオーブ』の力か……。たしかに、ソーサラーのシスティナには感じる物があったのかもな」


西の壁(正確には壁の幻影)を抜けると、そこは倉庫のような場所で、金属製の箱が1つ保管されていた。


オクト
「宝だ宝。それじゃ、さっそく……」

ヒューイ
「ん? どうしたんだ?」

オクト
「これは開かないな。魔法で施錠されてある」

ヒューイ
「『強化施錠』か……。システィナ、なんとかならないか?」

システィナ
「そんな役に立たない魔法は持ち合わせていません」

ヒューイ
「そりゃ、軍事的には役に立たないだろうがな……」

ルーシー
「ここは放置ですね」


一行は再び吊り橋を渡り、今度はT字路を北へ向かうことにする。


ベルク
「咆哮が激しいな。この先には只のゾンビじゃない奴もいそうだ…」

ケネス
「……よし、行くよ!」


北へ走ると、大量のゾンビ達が待ちかまえていた。
人間だったモノが4体。コボルトだったモノが3体、そして……


ヒューイ
「コボルトリーダーのゾンビもいるぞ! 気をつけろ!」


<第1ラウンド>
ルーシーは『亡者退散』、他のメンバーは彼女を援護しつつ敵前衛と対峙する。



ルーシー「……我が偉大なる神よ。我に力を。不死なる者に安らかな眠りを」

ヒューイ
「よっし、3体破壊!」


<第2ラウンド>
ルーシーと入れ替わりでケネスが後衛へ。ケネスは『鎮魂歌』を歌い始める。



ケネス「……鳥は大空へ、草花は大地へ。全てはあるがままに。全てはあるべき場所へ……」

オクト
「どわ、弱ってた奴1体だけかよ!」


<第6ラウンド>


ルーシー
「(ドスンッ)……くぅっ」

ケネス
「ルーシー!」

ヒューイ
「切り札がやられたか。……こうなりゃ、肉弾戦で片を付けるぞ。腹をくくれ!」


<第8ラウンド>



オクト「そこだ! うおぉぉぉ!」

リーダーゾンビ
「グオォォォォォ!」


ひときわ大きい断末魔と共に、コボルトリーダーゾンビが倒れた。


ヒューイ
「はあ……。今度ばかりは奴らの仲間入りかと思ったわ」


どうやらゾンビの中心的役割を果たしていたのはこのコボルトリーダーゾンビだったらしい。
洞窟内にゾンビの気配は無くなった。



オクト
「……ん? これは……『魔法の鍵束』?」

ベルク
「おそらく、あの横穴にあった箱の鍵だろうな」

オクト
「……おお。中身を回収して帰るか。今日はもう眠りたい……」


その後、一行は“土竜の寝床”亭へ帰還し、泥のように眠るのだった。

……ちなみに、その後腐臭が消えるまでは宿の表には出してもらえなかったのは言うまでもない。


 Mission Complete ! 

報酬
+600(報酬)
+300(追加報酬 助けた男性から)
+1000(アイテム『生命の瞳』『魔彩のオーブ』『死霊術師の杖』売却益
ハーブポーション

作者後記
とっても考え抜かれたやりごたえのある短編シナリオでした。
今回はアンデッド退治ということで、ルーシーにスポットが当たるかと思いましたが、そこはネクラーズ(笑)。誰も前に出ようとはしてませんね。
ただ、けっこうスタンダードな冒険譚が語れてまずはホッとしています。
戦闘表記はこれからどうしようかな。

著作権表記
シナリオ 「腐者の洞窟」(iuo様)
素材 男性(丸平お園様)
スクリーンショット 背景(らたら様)、矢印(木偶様)


←第1話 | ホーム | 第3話→